代表の西川喜優が、ゲストをお迎えして対談をするKiyuu’ Salon
記念すべき第1回目のゲストは、喜優先生の門下生として3年目になる「ちかさん」です。


【後編】は、主に日本舞踊について、そして今後発信していきたいことなどを語っていただきました。また喜優先生の演目についての貴重なお話をお届けいたします。
<前編はこちら>

日本舞踊 ~きっかけ・始めてみて・美意識・発信していく〜

喜優:踊り(日本舞踊)を始めようと思ったきっかけは何だったの?

ちか:子供が手が離れて、一番近くに習いに行けて、車でも行ける所をと思っていたところに、たまたま新聞の折込み(よみうりカルチャー)で見て、ちょこっと先生の顔が写ってたんです。それで「絶対この人見て見たい!」と思いました。もう一目惚れですね。皆さんそうだと思います。

喜優:いえいえ。。それで「やりたいな」とか「着物興味あるし」とか誰しも憧れはあると思うのね。でもいざ一歩踏み出そうっていう勇気が必要じゃない?個人の先生がいいとか、カルチャーがいいとか迷うと思うのね。その一歩は何が決め手になるのかな?

ちか:個人の先生もお家の周りで探したんですけど、なかったんですよね。

喜優:昔と違って、日本舞踊教室の看板とか立ててるのもなかなか見ないもんね。それはそれでまた入るのに勇気いるじゃない。入ってみたら思ったのと違うとか。そこがまた壁になってると思うのね。。

ちか:よみうりカルチャーの先生のお稽古は、とりあえず隔週だから、後々もっと余裕ができたら毎週にしようかな、とか考える幅があったんですよね。あと先生の個人稽古もあるということで、すっごく良いなと思ったんですけど、でもこんな綺麗な先生に間近で習うのは恥ずかしくて無理だなって思ったのも正直ありましたね。あと『古典舞踊』だったから良かったのかも。

喜優:古典舞踊と新舞踊の違いって、皆の中ではあるの?

ちか:新舞踊じゃないから良かった。新舞踊にいったら古典には来れない気がする。

ざっくり説明しますと、古典舞踊は歌舞伎舞踊を基本とした昔からの伝統的な日本舞踊。新舞踊は、演歌や歌謡曲といった現代に馴染みのある曲に、基本は日本舞踊に沿いながらも自由に振り付けを創作して踊る舞踊。

ちか:あと着物を着たかった。

喜優:着られる機会ができるもんね。

ちか:それには、先生が着物をキレイに着ていて、先生がキレイじゃないとイヤだというのはありました。美容室でもエステでもキレイな方にやっていただいた方が良いですよね。だから喜優先生はピッタリなんです。

喜優:いえいえ。。でもそれはわかる。私も髪とかやってもらうのに、信頼関係じゃないけどプロフェッショナルで、知識もあって、それでセンスの感覚が合わないと違ってきちゃうもんね。でもそういうのもトータルで「ご縁」だよね。

喜優:踊りを始めてみて、日本舞踊のイメージってどんな感じだった?でも小さい時から見てたからね、踊りに関しては。

ちか:実際やってみて、立ったり座ったりが大変だなと。小さい頃からやってれば良かったとホント思います。でも学生の頃にこう見えて新体操をやってたんです。

喜優:えーー!

ちか:だから自分でも多少は動ける、指先もキレイにできるって思ってたんですけど。ブランクって怖いですね笑

お淑やかなちかさんが、新体操をやられていたとは意外でしたが、でもどうりでその素地があるから踊れるんですね。

ちか:でも今日の、さとみさんの芸者さんの踊りは艶があって本当に素敵だなと思いました。
※よみうりカルチャーのお仲間で、現在「岸の柳」をお稽古中です

喜優:そこが古典の力なのよね。歌詞とか俳句でも、露骨に言わない日本のボカした感じが逆に艶っぽい感じになるし。

ちか:先生がやる芸者さんの踊りを見て見たいです!

喜優:今お習いしている92歳の素晴らしい女性の先生がいらっしゃるんだけど、お元気でずっと歌舞伎の方達をお稽古されてた先生なのね。その先生に1週間続けてお稽古なの。それで1曲上がっちゃうわけよ。「今月、あなたに差し上げたい演目があるのよって言って『雁金(かりがね)』ていう演目で、女泥棒なの。夏の紗の着物を着て、髪もキッっと上げて。それで部屋に入りこむわけ。暗闇の中探すんだけど、男に手を取られちゃうんだけどその男も泥棒なの。いわゆるそういう男女の駆け引きの物語でリアルな話ですよね。そこで揉み合って部屋の中に連れていかれてみたいなすっごいドラマチックな話。刺激的で感激して、奥が深いのよ。『目で相手の方をこうやって見てくのよ』『暗闇の中で手を取られたらこうやって使って』とかって。古典てすごいなと思ったよ。

私も常々、日本舞踊って「一人芝居」だなと感じています。演目のストーリーを知るとまた一段と面白くなる。それで人によってどう演じるのか、見るのが楽しみになってきました。

喜優:一人一人持ち味違うしね。この演目はどこかで出来たら。大舞台というよりも、小さい部屋でクーッと見るのがちょうど良い感じ。

ちか:先生くらいになっても、まだ教えていただくんですね。

喜優:先生はいた方がいいですよやっぱり。いくつになっても、どんなに経験ができても、自分にとっても道になるから。振りをいただくのはもちろんなんだけど、踊りを極めて行く上で、自分で研究もするし道になっていくでしょ。先生の一言で気づくことがあるし、そういうのがすごく勉強になるから。

喜優:ちかさんは今回「紅葉の橋」をお仲間とやりますけど、今後はどんなものをやりたいとかある?細かい演目はわからないと思うけど、こういう雰囲気とか。

ちか:一人で、一度はそれこそ艶っぽいものやってみたいんですよ。

喜優:ちかこさんに似合うなって思ってた曲があって、ちょっと長い端唄なるのかな。花魁が、長い手紙を持って踊るのがあるの。

ちか:いいなー!

喜優:内容はもちろん艶っぽい内容で、花魁だからね。雰囲気がとてもちかさんに合うんじゃないかなぁと思って。手紙を抱き抱えながらクルクル回って、幻想的なの。

ちか:うわぁ、じゃ楽しみに。ではその時はそれでお願いします。でもまず先生のを見てみたい笑

 

喜優:踊りを始めたことによってこういうことが日常に役立ってるっていうのある?

ちか:今年の4月に行われた、きもの市場さんでのイベント華ときもの祭の時に、普段での傘のさし方を優雅にやってらっしゃいましたよね。あれを聞いた時に「あ、もしかして習ってるだけで自然に出来てくるのかなって、それはやっぱり姉や妹が「あなたやっぱり動き方がみんなと違うわよね」って言ってくれるので、それで少しずつ身についてるのかなと。

喜優:今、さとみさんが「岸の柳」で傘使ってやってるじゃない。開ける時も自然とスーッと開けるようになったり、そういうので魅せられる。

ちか:先生や皆さんの踊ってる姿とか見てて、お扇子なんかも普通にやってるつもりだけど、自分では気づかないけど「普通じゃない」と言ってもらえるから。それこそ体操部だとガニ股になっちゃうけど、日舞は内股を気にするようになるし。

喜優:身についてるってことよね、意識してやってるわけじゃないから。ちかさんの美意識ってどんなところ?美の秘訣は何ですか?

ちか:私はやっぱり艶が必要だと思ってるので、自分の仕草もだけど、肌とか必要だなと思っていて。

喜優:わかるわかる。

ちか:ハリウッドエアーっていう、エアーの出るファンデーションを20年ほど使っているんです。質感が全然違う。毛穴も埋めちゃうくらいなので、舞台の時とか使っちゃう。アレがないとダメですね。こういう機械なんですよ。

喜優:買わなきゃ笑

ちか:あとはせいぜい今は、プラセンタ打つとか。興味あるのは「白玉注射」っていう美白効果が期待できるのですかね。あとは日に当たらない。

喜優:肌って大事だよね。

ちか16歳から海に行かないようにしてるんです。私、全然黒くならなくって赤くなっちゃうから。それなら焼かなくていいやと思って。でもあの頃って、色が黒くて健康的ってのがウリの時代で。

喜優:みんな日焼けしてたよね。

ちなみに喜優先生は、真夏でも日傘をお差しになりません。「傘持つの嫌いなの。確かに暑いんだよ、でも荷物を持ちたくないんだよね」とのこと。それでも美白を保ってらっしゃいます。長年の習性が逆にそうさせるのでしょうか。。

喜優:好きなお着物とか身についていることを、どんな形で発信していきたいとかある?

ちか:自分のインスタで、その日のお稽古の様子とかお着物とかを載せてるんですけど、皆さん見てくださって「イイね」押してもらったりとかすると、自分の糧になるっていうか、もうちょっと頑張ってみようとか思えます。今ここでもお着物着てる人っていないし、日舞習ってる方なんてホントに少ないじゃないですか。とっかかりがあればやりたいと思ってる人は多いはずで。着物を発信したい、日舞も習って、皆さんに和文化が継承されればいいなと思ってます。

私から質問で「お嬢さんは踊らないんですか?」と尋ねさせていただきました。

ちか:お着物がダメなんですよ。もったいない、たくさんあるから着てって言ってるんだけど、浴衣さえも嫌がる。そのうち気づいてくれるかなと思うんだけど。

着物って基本的に年齢問いませんけど、それでも若い時だからこそ着られる着物ってあるから、気づいてほしいですね~。でも気づかないんだよなー私もそうでしたけど笑

ちか:そう!だからそういうところでも和文化を広めたいよね。そういうのが広がると日舞にも目が行くし、いろんなところに目が行くと思うのね。

喜優:では最後に。和文化をつなげてく意味で、日本舞踊に求めるものは何ですかね?

ちか:今は発表会に向けてやらせていただいてるので、練習あるのみなんですけれども… それこそ「たづくり」でやってる発表会形式のはすごく良いと思います。男友達が見に行ってもいい?って言ってくれたんですね。男の人も見に来たいと思うんだって。近年はコロナで流れちゃうこともあるけれども、ああいうのをやっていただくと興味ある人は来るんだなって。

喜優:手頃な会がね。来年の京都の会も劇場ではないから、そんなに広いわけでもないのね。お客さまを呼べる人数も限られるから、出演者も客席から見られる会にしたいなと思ってる。いつも出番じゃない時は、楽屋に引っ込んじゃったりするけど。

ちか:違うお教室とかで習ってたら、みんなで京都行ってやるなんてこともないと思うし、やっぱり喜優先生だからいろんなこと考えてて、やる方も楽しいです。

喜優:場所のオーラみたいのがあって。本当に重厚な雰囲気で「勉強会です、古典です」みたいな場合は能楽堂とかでやる。私は時々、地唄舞とかやるけど内容によってはお寺の御本堂の前とかでやったりするのね。でも来年の京都の会は女性の楽しみ方っていうか、ラフな感じの会をやりたいから、みんなで楽しく遊び半分、学び半分でやるのがコンセプト。それには岡崎庵がいいなと思ったのね。結婚式場だから、幸せな陽のオーラがすごいの。その方がみんなが楽しめるかなと思って。

ちか:コロナ禍で発散したいのもありますしね。でもこれも2年前くらいから企画してくださってましたもんね。コロナが本当に開けたら、先生が良いと思った歌舞伎でも何でも、それこそみんなで着物を着て、一緒に見に行けるツアーとかあるとまた面白いのかなと思います。

終わりに

喜優:美しい=品性だと思ってるのね。艶とかいうのも色気ってことばっかじゃなくて、もうトータルで品性だと思ってるから。品があって初めて良い艶が出るわけじゃない?品がなかったらがさつなだけになっちゃうけど。それを発信していくのが、TOKYO日本舞踊LIFEの目標かな。


編集後記

1回のゲストとしてふさわしい、とても華やかなKiyuu’s Salonのスタートとなりました。
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人とも雨女を自認しており、このインタビューの日はなんと台風予報が出ていたのですが、当日その時間になると、雨は降らず暑くもなくちょうど良い気候になっていました。美人の雨女が揃うと、お天気も味方するのでしょうか。

日本舞踊を基点として、お稽古の時だけでは聞けない、いろいろなお話が伺えました。ちかさんのように上品でマチュアな女性になれるよう、またそんな女性たちのお仲間も増えますよう、このTOKYO日本舞踊LIFEも、続けていきたいと思います。

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